ドジョウになった娘が呼ぶお奴坊池
どんな伝承か
中野の名主の家で働く作男のお奴坊は、ある年、池のそばの田を耕していて赤く大きなドジョウを見つけた。入れ物がないので菅の葉を通して池の縁に挿しておき、そのまま忘れてしまう。夕方、池で道具を洗っていると縁のほうから名を呼ぶ声がし、のぞくと弱ったドジョウがいたので池に放してやった。帰りかけるとまた呼ばれ、池には前の年に病で死んだおよねの顔が浮かんで、一人にしないでくれと訴えていた。二人は思い合う仲だったが、およねは名主の息子との縁組に逆らえず、食を断って命を落としていたのである。お奴坊は鎌を捨てて池に入り、二度と戻らなかった。村人は二人があの世で夫婦になったと考え、池をお奴坊池と呼んだという。
原典より
村人は、二人はあの世で夫婦になったのだとして、この池をお奴坊池と呼ぶようになった。—— 大栄町史 民俗編(大栄町) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
大栄町史 民俗編(大栄町)
『大栄町史 民俗編』は大栄町の町史の民俗編で、ここに収められているのは第六章「ことばと生活」第一節「伝説」の部分だけである。北総台地にある町内の地区ごとに、源頼朝の鞍掛けの松、城主大須賀氏・伊能氏の話、弁天様と道祖神、狐・狸・河童・大蛇の話、作男や長者の話、古墳の埋蔵金の話などを伝える。伝説は歴史・神仏・動物・人物に関する伝説と「トーカとムジナの話」の五項に分けられ、末項では狐に化かされた体験とムジナの火の話を「〇」の箇条で並べる。