海鳥の羽を衣にした七年の漂着談
どんな伝承か
斎藤拙堂の『無人島羽衣記』が伝える一件である。天明五年二月半ばに土佐沖で流された船の生き残り一人、天明八年正月晦日に下総銚子沖から流された肥前船の十余人、寛政二年の同じ日に日向灘で難船した大隅志布志浦の船の六人が、そろって鳥島へ流れ着いた。三組は鳥を食い、その羽を編んで衣とし、七年を島で暮らす。やがて流木を縫い合わせて一艘の船を仕立て、寛政九年七月、青ヶ島へたどり着いた。片舷に百四十枚の板を打ち、破れ帆に船頭の古着を縫い足した船で、八丈の八重根湊に着いたときは異国船かと騒がれたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第1巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第1巻』を全451話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。