申の日に馬を引き出す駒形山の祭
どんな伝承か
菅江真澄が正月を過ごした胆沢郡徳岡は、前沢の町に近い小部落であった。二日の朝は子供たちが年礼に来るのに、痩馬と称して松の小枝に餅などを挿して供え、この辺ではこれを戯れて馬に乗せると言った。明きの方とは雷様が年を越した方角のことで、村の老人はそれによって田作りの豊凶を占った。三日は申の日であったので、家々の馬を引き出して遊ばせた。駒形山信仰の支配する土地だけに、馬の神の祭はおろそかではなかった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第2巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第2巻』は、柳田国男の紀行と旅の随筆を収めた著作集の一巻である。昭和三年一月の自序に続く「雪国の春」や菅江真澄の日記を読み解く文をはじめ、東北の村々の正月、火と炭、浜の暮らしの見聞、「秋風帖」「東国古道記」、昭和十五年十一月の自序を持つ「豆の葉と太陽」などの紀行を並べる。峠や古道、佐渡・五箇山・熊野などの土地を、住む人の暮らしと信仰から見ようとする文が多い。