斃れた馬の跡に建てる馬頭観音
どんな伝承か
三州下山あたりの人びとは、馬ほどの大きな生き物が何事もなく卒然と倒れて死ぬのを見て、驚き怖れずにはいられなかった。その不安を鎮めるため、なるべく古く有難そうな手続きを踏んで馬頭観音を建てておくと、夕暮れどきに独りその場所を通っても胸騒ぎがしないと信じられていたという。
原典より
馬ほどの大きな物が、今まで何とも無くて卒然として斃れて死ぬ。—— 定本柳田国男集 第2巻(柳田国男・定本柳田国男集) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第2巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第2巻』は、柳田国男の紀行と旅の随筆を収めた著作集の一巻である。昭和三年一月の自序に続く「雪国の春」や菅江真澄の日記を読み解く文をはじめ、東北の村々の正月、火と炭、浜の暮らしの見聞、「秋風帖」「東国古道記」、昭和十五年十一月の自序を持つ「豆の葉と太陽」などの紀行を並べる。峠や古道、佐渡・五箇山・熊野などの土地を、住む人の暮らしと信仰から見ようとする文が多い。