椿明神の椿と身を投げた女
どんな伝承か
青森湾の奥、小湊半島の東側にある椿明神の宮の山は大規模な椿崎で、その椿には伝説がある。昔この海を往復して木材を西へ運んでいた船の船頭が土地の女と馴染みになり、別れの日に椿の実を持ち帰る約束をした。だが故障があって二年続けて来られず、三年目に実を積んで小湊へ来たときには、女は待ちかねて疑い恨み、海に身を投げて死んでいた。船頭が岬の山にあった女の墓に参り、実を墓のまわりに播き散らしたのが後の椿の森になったと伝えられる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第2巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第2巻』は、柳田国男の紀行と旅の随筆を収めた著作集の一巻である。昭和三年一月の自序に続く「雪国の春」や菅江真澄の日記を読み解く文をはじめ、東北の村々の正月、火と炭、浜の暮らしの見聞、「秋風帖」「東国古道記」、昭和十五年十一月の自序を持つ「豆の葉と太陽」などの紀行を並べる。峠や古道、佐渡・五箇山・熊野などの土地を、住む人の暮らしと信仰から見ようとする文が多い。