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追波川を運ばれたチフスの子

所在地宮城県石巻市釜谷
年代大正期
登場チフスを病む十一二歳の少女、付添いの老女二人、著者
出典定本柳田国男集 第2巻

どんな伝承か

中一日おいた翌日、柳田は十五浜からの帰りに、追波川を上ってくる発動機船の上にいた。大雨の小止みの間に釜谷の部落を見ようと甲板に立つと、曳船を頼むといって濡れた舟が一つ岸に繋いであるところへ、一群の人が下りて来た。石巻の医者へ連れて行く窒扶斯の病人と聞き、事務員が面倒な条件ばかりを出すのを、一々首で承認して釣台を担いで乗ろうとする。年とった女が二人付き添っていた。荷の軽さが子供らしいので覗くまいとしていたが、はずみでその子と眼を見合わせてしまった。十一、二ばかりの女の子で、出水の川船で数里を運ばれた後、石巻で亡くなったことと思うと柳田は記す。医者かと思ったのか、御医者さんなら遠くへ行かずともすむのに、と考えたらしい眼が哀れであったという。

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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

定本柳田国男集 第2巻(柳田国男・定本柳田国男集)

『定本柳田国男集 第2巻』は、柳田国男の紀行と旅の随筆を収めた著作集の一巻である。昭和三年一月の自序に続く「雪国の春」や菅江真澄の日記を読み解く文をはじめ、東北の村々の正月、火と炭、浜の暮らしの見聞、「秋風帖」「東国古道記」、昭和十五年十一月の自序を持つ「豆の葉と太陽」などの紀行を並べる。峠や古道、佐渡・五箇山・熊野などの土地を、住む人の暮らしと信仰から見ようとする文が多い。

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