村に一人だけの学者・算用師
どんな伝承か
雪の飽田根の一篇に、阿仁の小滝という村の話がある。一村の者がみな文筆に疎いため、この地方の風として多少の読み書きのできる者を外から傭い入れ、それを算用師と呼んでいた。それがたった一人の村の学者であった。ある夜、思いがけず偉い人が来て泊まったというので、村長は早速その算用師を喚んで相手をさせる。その光景は目に見えるように書かれており、後にその男が一句を作って書いて出したというあたりは、今もありそうな微細な人間味である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第3巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第3巻』を全158話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。