佐藤忠信の裔と称する木地屋
どんな伝承か
磐城の北の境の遠刈田の温泉では、松川を隔てた対岸の新地という部落が木地屋であった。もとは付近の木地屋敷というところにいたと称し、そこにもなお若干の木地屋が住んでいる。彼らの苗字は小椋であるのに対し、新地のほうは全部が佐藤を称し、佐藤忠信の後裔だと言っている。「牽鑽表始命記」と題する一巻の由来書を持ち伝えているといい、牽鑽はあるいは轆轤の覚え誤りかともかくも轆轤のことを意味するらしいと柳田は記す。またこの遠刈田新地の木地屋たちが佐藤氏の家紋と称して用いている源氏車は、王孫流寓の伝説を研究する者が看過すべからざる一点であるという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第4巻』を全822話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。