三之公の小倉宮御伝記と君ヶ畑
どんな伝承か
川上郷で最も重要な歴史は、入之波の奥の三之公に伝わる「小倉宮御伝記」である。「南山義烈史」は小倉宮の事を述べて、敗れて近江に走り、君ヶ畑に至って山村某の家に隠れ、つぶさに辛苦を営んだとする。嘉永五年著の「吉野郡旧記」はこの話をもっと詳しく、江州山奥甲賀郡の君ヶ畑へ行かれて民家に安居し、空因王は君ヶ畑の民家の婦を妻として住まわれ、そこに若宮二人が誕生し、文安五年戊辰八月に君ヶ畑を出発して入之波奥の三之公に皇居を忍ばれたと記す。桂某の家の「北山荘由来記」は父宮尊義王が嘉吉の変に江州甲賀郡へ逃れたとし、伊藤氏の覚書は後に井光へ来て伊藤五郎太夫祐国に寄ったと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第4巻』は、柳田国男の著作を集めた定本の一巻である。岩手県遠野の伝承を佐々木鏡石から聞いて書いた「遠野物語」、山に入った人や神隠しを論じた「山の人生」、河童・ひだる神・一つ目小僧・天狗などを扱い妖怪名彙を付す「妖怪談義」を収める。ほかに「山人考」「史料としての傳説」「比丘尼石の話」「山人外傳資料」「『イタカ』及び『サンカ』」「山民の生活」など、山人・漂泊民・妖怪をめぐる論考を併せる。