越前平泉寺 七難の岩と泰澄の母
どんな伝承か
越前の平泉寺の縁起によれば、ここから道を四里ほど登った所に七難の岩という場所がある。泰澄大師の母がそこまで歩いて来ると急に風雨が激しくなって岩が二つに割れ、呆れて立ちすくんでいると、泰澄は神通力でこれを知り飛ぶように駆けつけた。ここから上は仏菩薩の影向する所で女の身では叶わない、その代わりに妙理権現から授かった女人禅定の印文と即身成仏の曼陀羅を進ぜるからお帰りあれと言い、老母はその二つを受けて山を下り、百年の寿命の末に往生の願いを遂げたという。柳田はこれを曼陀羅の広告のような話としつつ、女人の登山を戒めて岩が裂ける点で姥石伝説の一つだと見る。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第4巻』は、柳田国男の著作を集めた定本の一巻である。岩手県遠野の伝承を佐々木鏡石から聞いて書いた「遠野物語」、山に入った人や神隠しを論じた「山の人生」、河童・ひだる神・一つ目小僧・天狗などを扱い妖怪名彙を付す「妖怪談義」を収める。ほかに「山人考」「史料としての傳説」「比丘尼石の話」「山人外傳資料」「『イタカ』及び『サンカ』」「山民の生活」など、山人・漂泊民・妖怪をめぐる論考を併せる。