近江野洲郡欲賀の油坊
どんな伝承か
近江野洲郡の欲賀という村では、春の末から夏にかけて夜分に現れる怪火を油坊と呼ぶ。その火の焔の中に多くの僧形が認められるというので、この名があるという。昔、比叡山の僧侶で灯油料を盗んだ者の亡霊がこの火になったと伝えられる。柳田国男は『郷土研究』五巻五号の報告としてこれを妖怪名彙に収め、河内枚岡の姥が火など、油を盗んだ話の付く怪し火の例と並べている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第4巻』は、柳田国男の著作を集めた定本の一巻である。岩手県遠野の伝承を佐々木鏡石から聞いて書いた「遠野物語」、山に入った人や神隠しを論じた「山の人生」、河童・ひだる神・一つ目小僧・天狗などを扱い妖怪名彙を付す「妖怪談義」を収める。ほかに「山人考」「史料としての傳説」「比丘尼石の話」「山人外傳資料」「『イタカ』及び『サンカ』」「山民の生活」など、山人・漂泊民・妖怪をめぐる論考を併せる。