越中魚津・桝を叩いて天狗に子を放させる
どんな伝承か
越中魚津では、明治期(三十年余り前まで)、迷子を探す際に太鼓と一升桝を叩きながら村を歩き回る風習があった。桝の底を叩くと天狗の耳が破れそうになるため、捕らえていた子供を樹の上から放して寄越すのだと信じられていたという。同様の風習は各地にあり、北大和では鉦太鼓を叩きながら「太郎かやせ次郎かやせ」と唱え最近親の者が一升桝の底を叩いて歩く例や、紀州田辺で桝の尻を櫛で掻いて音を立てる例、播磨印南郡で桝を木片で叩く例なども伝えられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第4巻』は、柳田国男の著作を集めた定本の一巻である。岩手県遠野の伝承を佐々木鏡石から聞いて書いた「遠野物語」、山に入った人や神隠しを論じた「山の人生」、河童・ひだる神・一つ目小僧・天狗などを扱い妖怪名彙を付す「妖怪談義」を収める。ほかに「山人考」「史料としての傳説」「比丘尼石の話」「山人外傳資料」「『イタカ』及び『サンカ』」「山民の生活」など、山人・漂泊民・妖怪をめぐる論考を併せる。