初午の火気管制と武者人形を飾る家々
どんな伝承か
忍の町では、昔、初午の日に大火があったとかで、以来その日は絶対に火気を嫌い、町ぐるみで慣習的に「火気管制」が行われるという。当日は消防組が非常警戒に当たるのはもちろん、町民も自発的に火気の使用を極度に控え、一般家庭の風呂はいうまでもなく、銭湯までが休業することになっている。さらにこの町の変わった風習として、どの家でも稲荷を祀ることがあり、初午の日には各家庭に武者人形を飾る。豪家では玄人を招いて立派な武者人形を作らせ、それを自家に飾って一般に公開することが年中行事の一つになっているという。
原典より
此町では、昔初午の日に大火があつたとかで、爾來其日には絕對に火氣を嫌つて、全町は其日に限つて慣習的に「火氣管制」が施行されるそうだ。—— 行楽と史蹟の武蔵野(寺島裕・1937年(昭和12年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
行楽と史蹟の武蔵野(寺島裕・1937年(昭和12年))
『行楽と史蹟の武蔵野』は、寺島裕が昭和十二年に著し、新生堂から発行した武蔵野の史跡探訪記である。狭山丘や山口貯水池の周辺から、行田・粕壁・生田・淀橋・中野・柴又・多摩御陵などの社寺、城址、古戦場、塚を歩いて訪ね、交通の便とともに由緒や伝説を記す。小橋一太と新井堯爾の序文、著者の自序を巻頭に置き、前著「史蹟の武蔵野を探ねて」に続く行楽案内として土地ごとの短い節を連ねる。