菱形池の祟りから八幡神に祀られた応神天皇
どんな伝承か
宇佐八幡宮の起こりを語る伝説である。欽明天皇の二十九年、この地では怪しいことが続き、菱形池のほとりの泉が湧く所に、鍛冶をする翁や頭が八つある龍が現れた。その姿を見た者はたちまち病んで死んだので、人びとは神の祟りだと恐れた。そこへどこからともなく大神比義という老人が現れ、三年のあいだ断食して神に仕えると、泉のそばの笹の上に光り輝く童子が現れて誉田の天皇の八幡麿と名乗り、黄金の鷹に変じて駅館川の東岸の松にとまった。そこで和銅元年に鷹居社を建てて八幡神を祀り、神亀二年に今の地へ移したという。誉田の天皇とは応神天皇のことである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
異界巡礼(小松和彦)
『異界巡礼』は、小松和彦が著した民俗学の論集である。狐が人に化ける方法と如意宝珠、蓮如絵伝の異人、鬼退治譚と怨霊、家の盛衰をめぐる民話、夢信仰、巫女と陰陽道、洞窟や龍宮の他界観、人を神に祀る信仰、神隠しなどを、昔話・説話・絵巻・お伽草子と高知県物部村などでの調査をもとに論じる。論考と随想を部に分けて並べ、「民俗のランドスケープ」の部には妖怪、凧上げ、祓い、霜月祭り、呪い人形をめぐる小文を収める。