家老の怨霊を祀った和霊神社
どんな伝承か
民俗社会には、人神を祀る小さな神社が数多くある。たとえば疫病がはやると、巫者を雇ってその原因を占わせ、昔この地で殺された旅人の怨霊の祟りだと判じられれば、その霊のために小さな祠を作って祀り上げる。こうして小さな人神が生まれるのである。その多くはやがて忘れられていくが、なかには人びとの信仰を集めて、しだいに大きな神社へと育つものもあった。近世に宇和島藩の家老の怨霊を祀って創られた和霊神社は、その代表的な例だという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
異界巡礼(小松和彦)
『異界巡礼』は、小松和彦が著した民俗学の論集である。狐が人に化ける方法と如意宝珠、蓮如絵伝の異人、鬼退治譚と怨霊、家の盛衰をめぐる民話、夢信仰、巫女と陰陽道、洞窟や龍宮の他界観、人を神に祀る信仰、神隠しなどを、昔話・説話・絵巻・お伽草子と高知県物部村などでの調査をもとに論じる。論考と随想を部に分けて並べ、「民俗のランドスケープ」の部には妖怪、凧上げ、祓い、霜月祭り、呪い人形をめぐる小文を収める。