そとらんとうの無縁仏を祀って治った厄年の病
どんな伝承か
南行徳の稲毛ちよは大正十一年に所帯を持ち、昭和七年の正月、三十三の厄年に高熱と平熱を繰り返す病に倒れた。小松川の病院に入っても原因が分からず家へ戻ると、浦安でお滝の先達をしていた大塚とめ五郎が拝み、病ではなく仏が頼って来ているのだと告げた。家の裏は、死人を洗った湯や薄縁を捨てて焼いた「そとらんとう」で、行き倒れや乞食が埋まっていた。藪をかき回して石十一基と骨を拾い、十一人の無縁仏の位牌を作って祀ると病は癒えたという。
原典より
25 海坊主26 お鹿狩と旗27 流れてきた御輿28 田中内匠と内匠堀III 昔話〔動物昔話〕1 むりどん(古屋の漏り)—— 市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年))
『市川の伝承民話 第1集』は、市川民話の会が昭和五十五年に編んだ民話の資料集である。市川市教育委員会の事業として昭和五十四年度に千葉県市川市の国分・北国分・行徳・南行徳で行った採訪調査のうち、テープ起こしを終えた語りを、方言も残して話者の息継ぎのままに記録している。世間話・伝説・昔話・唄・生活譚の五部に分けて地区別に並べ、話末に話者・地区・記録者の名を添える。