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関所で「神明さま後の渡り氷」と名乗る塩売り

所在地千葉県市川市本塩(神明社)
登場清水あい
出典市川の伝承民話 第1集

どんな伝承か

本塩(別名塩焼町、また新田ともいう)の神明社の北側は、片側が藪、片側に塩場寺(法善寺)の木がかぶさり、常運寺あたりの木も覆う細い道で、日が差さず氷が解けなかった。子どもはその氷に乗って向こう側へ渡って遊んだので「神明さま後の渡り氷」と呼んだという。語り手の祖父は松戸の方へ塩を売りに行って関所の役人に捕まり、郡はどこかと問われて「神明さま後の渡り氷」、職は何かと問われて「ごろはち茶碗に五、六ぺえ」と答えたところ、とにかく行ってみろと言われてそのまま帰されたと伝える。塩は専売品で、役人の目をくぐるため、危うくなると堰の中へ転んで塩を水に溶かしてしまったともいう。

原典より

だからあたしン、膝の上で「どうして、神明さま後の渡り氷って言うだか」って聞くと、「神明さま後はナ、かたっぽン藪でナ、じょうごん寺(常運寺)あたりのがさっかぶで、塩場寺の木ン、こうかぶって、こんなほせえ道だから、氷ンそれこ…—— 市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年)) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年))

『市川の伝承民話 第1集』は、市川民話の会が昭和五十五年に編んだ民話の資料集である。市川市教育委員会の事業として昭和五十四年度に千葉県市川市の国分・北国分・行徳・南行徳で行った採訪調査のうち、テープ起こしを終えた語りを、方言も残して話者の息継ぎのままに記録している。世間話・伝説・昔話・唄・生活譚の五部に分けて地区別に並べ、話末に話者・地区・記録者の名を添える。

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