墓石に新聞を配らせたお夏ぎつね
どんな伝承か
語り手が幼い頃、七、八十年前のことという。この辺りにはお夏ぎつねという狐がいた。ある朝早く新聞配達が化かされ、籠の新聞を墓場の石の一つ一つに配って歩いた。鈴の音を聞きつけた了善寺の僧が見に行くと、墓石の上に新聞が載っていた。僧は「またいたずらをしたな」と言って小山の方へ行き、お夏ぎつねを叱った。それからは狐もあまりいたずらをしなくなったと伝えられる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第2集(市川民話の会・市川の伝承民話・1981年(昭和56年))
『市川の伝承民話 第2集』は、市川民話の会が昭和五十六年に発行した民話資料集である。千葉県市川市の曽谷・宮久保・下貝塚と行徳の古老から聞き取った、狐や狢に化かされた話、火の玉、伝説、昔話、唄、暮らしの禁忌や苦労話を、方言を残した語り口のまま記録している。世間話・伝説・昔話・唄・生活譚の五部を地区別に並べて各話の末に話者と記録者を記し、巻末に語り手の紹介、話者と採訪者の名簿、採訪記、あとがきを付す。