綿を木の葉で買った夜道の女
どんな伝承か
昔は綿を買って家で仕立てる人が多く、綿屋が天秤棒で担いで売り歩いていた。ある綿屋がその日に限って遅くなり、夜道を歩いていると、きれいな女に声をかけられ、綿を譲ってほしいと言われた。売れ残りでよければと安く売り、暗い道で受け取った金を懐に入れると、女は綿を持ってすっと姿を消した。喜んで家に帰り売り上げを数えると、木の葉が入っていた。昼のうちに売った客はまともで、夜に買ったのはあの女だけだから、あれが狐だったに違いないと悟ったという。狐は追い詰められると屁をするのだとも語られている。
原典より
「泣くと、狐来るぞ!ムジナ来るぞ」なんてね、お爺さんから聞いた事ありますよ。—— 市川の伝承民話 第2集(市川民話の会・市川の伝承民話・1981年(昭和56年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第2集(市川民話の会・市川の伝承民話・1981年(昭和56年))
『市川の伝承民話 第2集』は、市川民話の会が昭和五十六年に発行した民話資料集である。千葉県市川市の曽谷・宮久保・下貝塚と行徳の古老から聞き取った、狐や狢に化かされた話、火の玉、伝説、昔話、唄、暮らしの禁忌や苦労話を、方言を残した語り口のまま記録している。世間話・伝説・昔話・唄・生活譚の五部を地区別に並べて各話の末に話者と記録者を記し、巻末に語り手の紹介、話者と採訪者の名簿、採訪記、あとがきを付す。