⑩ しじみとふな獲り
どんな伝承か
曽谷を流れる春木川は今ではどぶ川になったが、語り手は子供の頃そこで泳いだという。七、八センチほどの鮒が獲れ、川べりの泥に白い点々と出ているのが蜆の管で、味噌汁の実に採った。泥鰌は夜になると田の畦で寝ているので、「よとぼし」といってカンテラに火を灯し、竹の先に十センチほどの針をつけたものを持って獲りに出た。昼間は田の泥に小指ほどの穴が開いているところを万能で掘ると泥鰌が獲れた。田螺もよく採り、茹でて針で中身を取り出し、藁灰であくを抜いてから砂糖味噌で煮て食べたと伝えられる。
原典より
春木川は、今ではどぶ川だけんど、わたしゃ、春木川で泳ぎましたよ。—— 市川の伝承民話 第2集(市川民話の会・市川の伝承民話・1981年(昭和56年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第2集(市川民話の会・市川の伝承民話・1981年(昭和56年))
『市川の伝承民話 第2集』は、市川民話の会が昭和五十六年に発行した民話資料集である。千葉県市川市の曽谷・宮久保・下貝塚と行徳の古老から聞き取った、狐や狢に化かされた話、火の玉、伝説、昔話、唄、暮らしの禁忌や苦労話を、方言を残した語り口のまま記録している。世間話・伝説・昔話・唄・生活譚の五部を地区別に並べて各話の末に話者と記録者を記し、巻末に語り手の紹介、話者と採訪者の名簿、採訪記、あとがきを付す。