大女が落とした石臼の姥石
どんな伝承か
富津市の志組谷には、かつて鹿野山の二倍もあろうかという巨大な女が住んでいたと伝えられる。この大女は近くの猿たちに木の実を拾い集めさせ、それを石臼で挽いて団子にし、日々の食事にしていた。やがて水飲み場にしていた中沼の主と水をめぐって争いになり、独り暮らしの寂しさもあって仲間を求めて土地を去ることにした。その出立のとき、袂に入れていた石臼を取り落としたまま去ってしまい、その石臼が周囲八メートル半、高さ一メートル余りの八角形の大石として残り、いまも姥石と呼ばれている。
原典より
昔、ここに鹿野山の倍もある大きな女が住んでいた。—— 房総の伝説(平野馨) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
房総の伝説(平野馨)
『房総の伝説』は、平野馨が安房・上総・下総の旧三国、ほぼ今の千葉県に伝わる伝説を選んで編んだ資料集である。ホトトギスやワラビの由来、片葉の芦や頼朝の箸の杉、弘法の井戸、将門や八幡太郎の話、坂戸神社の人身御供、証誠寺の狸など、動植物・石・池・地名・家・祭りにまつわる伝説を市町村名を添えて記す。はしがきに示す自然伝説・歴史伝説・信仰伝説の三部に分け、解説や論評を加えずに書き連ね、似た話のある土地も併せて挙げる。