人魚の肉を食べた八百比丘尼と比丘杉
どんな伝承か
若狭の八百比丘尼は高橋長者の娘で、長者が遠い異郷から持ち帰った不老長寿の肉を食べたため常に十六、七の若さを保ち、百二十歳で尼になって諸国を巡り、八百歳で自ら入定したという。猿田にはその墓標と伝える比丘杉という大木があったが、明治三十七年に伐られてしまった。松戸市にも類話がある。六軒新田の六人が上本郷の長者屋敷の庚申講に招かれ、人魚が出ると知って持ち帰り捨てる約束をしたが、耳の遠い一人が家で娘に食べさせてしまい、娘は八百年生きて若狭で比丘尼になったという。八日市場市小泉では、竜宮の土産の肉を父が捨て、庚申講の席で拾い直して皆で食べた八百姫が、竜神に詫びて尼となり若狭で八百比丘尼になったと伝える。
原典より
若狭の国(福井県)の八百比丘尼は高橋長者の娘で、長者が遠い異郷から持ってきた不老長寿の肉を食ぺたので常に十六、七歳の若さを保持し、百二十歳の時、尼となって諸国を回り、八百歳で自ら入定したといわれている。—— 房総の伝説(平野馨) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
房総の伝説(平野馨)
『房総の伝説』は、平野馨が安房・上総・下総の旧三国、ほぼ今の千葉県に伝わる伝説を選んで編んだ資料集である。ホトトギスやワラビの由来、片葉の芦や頼朝の箸の杉、弘法の井戸、将門や八幡太郎の話、坂戸神社の人身御供、証誠寺の狸など、動植物・石・池・地名・家・祭りにまつわる伝説を市町村名を添えて記す。はしがきに示す自然伝説・歴史伝説・信仰伝説の三部に分け、解説や論評を加えずに書き連ね、似た話のある土地も併せて挙げる。