三匹の猫と槍で退治した長禅寺の大鼠
どんな伝承か
戦国の末ごろ、旭の野中にある長禅寺に大きな鼠が住みつき、人に害を加えるほどで寺は困り果てていた。ある日、寺の飼い猫が和尚の夢枕に立ち、あの鼠は神通力があって自分一匹では敵わない、横根の里にいる兄と弟を借りて三匹で退治したいと告げる。和尚が横根へ行くと確かに兄弟の猫がいたので二匹を連れ帰った。十数日後の夜、本堂で長い死闘が繰り広げられ、飼い猫は鼠の喉に、兄弟猫は背に食らいついたが、鼠は逃げた。飼い猫は頭の傷が深く明け方に死ぬ。村人と探すと、節のないはずの奥座敷の天井板に斑点があり、槍で突き上げると悲鳴とともに大鼠が落ちてきた。その槍を洗ったのが境内の血の池だという。
原典より
戦国時代の末ごろ、この寺に大きなねずみがいて、人に危害を加えることまであって困りはてていた。—— 房総の伝説(平野馨) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
房総の伝説(平野馨)
『房総の伝説』は、平野馨が安房・上総・下総の旧三国、ほぼ今の千葉県に伝わる伝説を選んで編んだ資料集である。ホトトギスやワラビの由来、片葉の芦や頼朝の箸の杉、弘法の井戸、将門や八幡太郎の話、坂戸神社の人身御供、証誠寺の狸など、動植物・石・池・地名・家・祭りにまつわる伝説を市町村名を添えて記す。はしがきに示す自然伝説・歴史伝説・信仰伝説の三部に分け、解説や論評を加えずに書き連ね、似た話のある土地も併せて挙げる。