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錫杖で湧かせた神余の塩井戸

所在地千葉県館山市神余(塩井戸)
年代むかし
登場弘法大師
出典房総の年輪

どんな伝承か

館山市神余を流れる川の中に、黄色みを帯びた塩水が湧き出している所がある。弘法井戸とも塩井戸とも呼ばれ、次のような言い伝えがある。昔、旅の坊さんがこの土地を訪れ、ある農家に立ち寄って食事を頼むと、里人は快くもてなしてくれた。ところが出てくるのは塩気のない物ばかりだったので、坊さんがわけを尋ねると、家の人は貧しくて塩が買えないのだと答えた。坊さんはお礼に塩水を授けようと言って川へ下り、手にした錫杖を突き立てて祈りを込め、今の塩井戸を作ったという。後にその坊さんが弘法大師だと分かり、感激した里人は無量山来迎寺を建てて感謝したと伝える。

原典より

館山市神余の川の中に、黄色味をおびた塩水がわき出ている。—— 房総の年輪 より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

房総の年輪

『房総の年輪』は、房総各地の伝説・昔話・信仰の伝承地を一項ずつ取り上げた短い文章を集めたもので、著者と刊行の事情は原典に記されていない。香取の要石や真間の手古奈堂、松虫姫、源頼朝や義経の伝説地、沈鐘伝説、椀貸伝説、河童や天狗、海の怪異「もうれん」などを、『譚海』『上総国誌稿』や市町村の民話集を引きながら所在地とともに記す。各項は読み切りの小文で、昭和四十五年と四十七年の年頭に書かれた項を含む。

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