南無谷の妙福寺と日蓮の裸像
どんな伝承か
旧富浦町南無谷の妙福寺には、七面さまと呼ばれる日蓮の裸像が祀られている。言い伝えでは、建長五年四月、日蓮が清澄山から鎌倉へ向かおうとした折、海が荒れて南無谷の泉沢氏の家に泊めてもらった。のちに泉沢氏が身延山に日蓮を訪ねると、日蓮は大いに喜び、南無谷で衣を洗ったために裸で経を読んだ当時のことを語って、弟子の日法にその姿を彫らせ、自ら七字の題目を書き添えて贈ったという。泉沢氏はこの裸の祖師像を持ち帰り、それを本尊として妙福寺を建てたと説かれている。
原典より
安房郡富浦町南無谷の妙福寺に、七面さまとよばれる日蓮上人の裸像がある。—— 房総の年輪 より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
房総の年輪
『房総の年輪』は、房総各地の伝説・昔話・信仰の伝承地を一項ずつ取り上げた短い文章を集めたもので、著者と刊行の事情は原典に記されていない。香取の要石や真間の手古奈堂、松虫姫、源頼朝や義経の伝説地、沈鐘伝説、椀貸伝説、河童や天狗、海の怪異「もうれん」などを、『譚海』『上総国誌稿』や市町村の民話集を引きながら所在地とともに記す。各項は読み切りの小文で、昭和四十五年と四十七年の年頭に書かれた項を含む。