美貌を嘆いて川へ身を投げた於戸姫
どんな伝承か
主君を失って京から落ちてきた和田靭負が高田に住み、於戸姫という美しい娘がいた。求婚を退けられた関某が夜襲をかけて娘を奪うが、板橋あたりで娘が気を失ったため、死んだものと思って置き去りにする。通りかかった農夫の夫婦に助けられた於戸姫は、やがて小川左衛門次郎義治に望まれて嫁いだ。ところが夫の友人村山三郎武範が姫に迷い、拒まれた末に夫を刺し殺す。姫は薙刀を取って仇を討ったものの、みな自分の器量が招いたことと嘆き、髪を切って家を出た。川辺で辞世を詠み、水面に姿を映して身を投げたという。
原典より
時代 戦国時代 明応(一四九二 一五〇〇)のころ高田に、主君を失って流浪し、京からはるばる都落ちをしてきた和田靭負という者がいた。—— 新宿と伝説(新宿区教育委員会・1969年(昭和44年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
新宿と伝説(新宿区教育委員会・1969年(昭和44年))
『新宿と伝説』は、新宿区教育委員会が昭和四十四年に編んだ区内の伝説集である。カッパが出る坂、四谷怪談のお岩、矢来町の化け石、女幽霊が掘った清水など、牛込・四谷・戸塚大久保・新宿・淀橋柏木落合の各地に伝わる六十二の伝説を、江戸の地誌や随筆などから採って収める。第一章で伝説の分布と型を概説し、第二章では地域別に、各話へ場所・時代・出典・解説・参考書を添える。