枕を並べて目覚めた業平夫婦の森
どんな伝承か
在原業平が武蔵野を旅していたとき、このあたりで道に迷い、妻と離ればなれになってしまった。二人は谷川のほとりの野辺に別々に横たわり、夫は妻を、妻は夫を恋い慕って、その悲しみを神に託した歌を詠んだ。すると不思議なことに、いつのまにか夫婦は枕を並べて眠っていたという。それからこのあたりを、誰からともなく思いの森、恋の森と呼ぶようになった。諏訪神社の境内の西側には、川をはさんで二本の杉の大木が立ち、その森を代表する杉といわれてきた。今は一本が枯れている。
原典より
時代 平安時代 天長(八二四一三三)のころ在原業平朝臣が、武蔵野を旅行していると、このあたりで道に迷い妻と別れ別れになってしまった。—— 新宿と伝説(新宿区教育委員会・1969年(昭和44年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
新宿と伝説(新宿区教育委員会・1969年(昭和44年))
『新宿と伝説』は、新宿区教育委員会が昭和四十四年に編んだ区内の伝説集である。カッパが出る坂、四谷怪談のお岩、矢来町の化け石、女幽霊が掘った清水など、牛込・四谷・戸塚大久保・新宿・淀橋柏木落合の各地に伝わる六十二の伝説を、江戸の地誌や随筆などから採って収める。第一章で伝説の分布と型を概説し、第二章では地域別に、各話へ場所・時代・出典・解説・参考書を添える。