山賊の家で命を救った女の像
どんな伝承か
本塩町の外堀に面したところに高力某の屋敷があった。その先祖が旅の途中で寂しい一軒家に泊まったところ、そこは山賊の住みかだった。困り果てているとひとりの女が、助けてあげるから間道から逃げよと言い、こっそり逃がしてくれる。頭領は女を殺そうとしたが、日ごろ世話になっていた子分たちが山中で殺したと偽ってかばい、高力某は無事に逃げおおせた。のちに二人は巡り会って夫婦となる。大恩人であるからと高力氏はその姿を像に造って祀ったが、あまりに恐ろしい面相だったので、菩提寺の正受院へ納めたのだという。
原典より
場所 新宿二丁目 正受院時代 江戸時代 文政年間(一八一八一二九)のころ本塩町の外堀に面したところに、高力某の住む屋敷があった。—— 新宿と伝説(新宿区教育委員会・1969年(昭和44年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
新宿と伝説(新宿区教育委員会・1969年(昭和44年))
『新宿と伝説』は、新宿区教育委員会が昭和四十四年に編んだ区内の伝説集である。カッパが出る坂、四谷怪談のお岩、矢来町の化け石、女幽霊が掘った清水など、牛込・四谷・戸塚大久保・新宿・淀橋柏木落合の各地に伝わる六十二の伝説を、江戸の地誌や随筆などから採って収める。第一章で伝説の分布と型を概説し、第二章では地域別に、各話へ場所・時代・出典・解説・参考書を添える。