都から取り寄せた右衛門桜
どんな伝承か
後一条天皇のころ、柏木右衛門佐頼季は乱の平定の功で角筈と柏木の地を賜り、円照寺の境内に館を構えて住んだという。あるとき、都に残してきた初恋の相手である三の宮が男児を産んだという便りが届く。頼季は大いに喜び、その子が木のように立派に育つようにと願って、はるばる都から桜の苗を取り寄せ庭先に植えた。桜は頼季の没後も香り高く咲き続けたので、里人はこれを右衛門桜と呼び、代を継がせて植え伝えてきたと伝わる。一方、生まれた子は美しく成長し、都では体から桜の香がするほどだと評判され、薫の大将と呼ばれるようになった。
原典より
場所 柏木四丁目四八八三番地 円照寺時代 平安時代 長元三年(一 三 )以後後一条天皇の御代に柏木右衛門佐頼季という者がいた。—— 新宿と伝説(新宿区教育委員会・1969年(昭和44年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
新宿と伝説(新宿区教育委員会・1969年(昭和44年))
『新宿と伝説』は、新宿区教育委員会が昭和四十四年に編んだ区内の伝説集である。カッパが出る坂、四谷怪談のお岩、矢来町の化け石、女幽霊が掘った清水など、牛込・四谷・戸塚大久保・新宿・淀橋柏木落合の各地に伝わる六十二の伝説を、江戸の地誌や随筆などから採って収める。第一章で伝説の分布と型を概説し、第二章では地域別に、各話へ場所・時代・出典・解説・参考書を添える。