泣銀杏
どんな伝承か
中山法華経寺の門前にある銀杏の古木は、日蓮の弟子日朗にまつわる伝説とともに知られる名木である。文永十一年十月十三日は日蓮の三周忌にあたり、鎌倉にいた日朗はやむを得ない所用を済ませて中山へ駆けつけたが、日暮れに間に合わなかった。日常は、一刻たりとも師の法会に遅れる門弟は許さないと言って、門を固く閉ざして通さなかった。日朗の嘆きは限りなく、門の外にあったこの銀杏の樹を抱いて回りながら、一晩中念仏を唱えたが許されず、ついに銀杏の木に己が思いを託して夜を明かした。それゆえこれを泣銀杏と称し、以来この樹は夜な夜な泣くと言い伝えられた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 下総の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・大正~昭和初期(推定))
藤沢衛彦編『日本伝説叢書 下総の巻』を全179話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。