旱天に水が湧く御天様と加持された井戸
どんな伝承か
取手町青山の御天様(御天子)は御形様とも呼ばれる社で、不思議なことに日照りのときには井戸から清水が湧いて近隣の数百人をまかない、雨のときには少しも水が出ないという。境内の榎を切ると血が流れ出て切った者に祟るといわれ、誰も手をつけない。付記として、この村の勘助の妻が機を織っていると若い僧が水を乞い、家の井戸は塩気があって飲めないと隣から水をもらって渡したところ、僧は礼にこの井戸を加持してやる、清水になれば諸病に効くと言って去った。翌日には井戸が清水に変わり、母の眼病につけると治った。評判が広まって水を求める人が押し寄せたため役所が禁じたが、なお盗む者が絶えないと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 下総の巻(藤澤衛彦・日本伝説叢書・1919年(大正8年))
『日本伝説叢書 下総の巻』は、藤澤衛彦が編著し、大正七年の緒言と大正八年の序を添えた下総国の伝説集である。平将門・佐倉宗吾・真間の手児奈・累などを中心に、千葉県と茨城県西部にまたがる旧下総の城跡・寺社・墓・橋・井戸などにまつわる伝説を、地誌や古記録の引用を交えて収める。緒言で百七十九編を収めると述べ、国名の由来から始めて、話ごとに所在の町村名を付した見出しを立てて並べる。