景行天皇の宮居の跡と伝える浮島
どんな伝承か
勝山の加知山の東、およそ十一町の沖にある周囲七町ほどの島を浮島と呼ぶ。「房総志」に景行天皇五十三年に上総国安房の浮島宮に至ったと見えるのはこの島のことだとされ、島の上の浮島神社はそのときの宮居の跡だろうと言われている。「日本書紀」にはこの巡幸のとき覚賀鳥の声を聞き、海に出て白い蛤を得、膳臣の遠祖磐鹿六雁がそれを膾にして献じたと記され、この島で獲れる蛤はたいそう大きいという。島の竹は美しく、切って笛にすると澄んだ音がするとも伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 安房の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・1919年(大正8年))
『日本伝説叢書 安房の巻』は、藤沢衛彦が大正八年に編んだ安房国(千葉県)の伝説集である。天富命の渡来や源頼朝・里見氏・日蓮にまつわる英雄伝説を中心に、社寺の縁起、風俗・信仰、船幽霊や一本足の蛸などの特異な伝承を、『安房志』『房総志料』などの地誌や寺伝・口碑から引いて収める。緒言と「安房国と牛」と題する序を巻頭に置き、鋸山から小湊まで各話に所在の郡村大字を添えて土地ごとに並べ、緒言では百八十六種を蒐集したと記す。