鉈切明神の窟
どんな伝承か
安房郡西岬村大字浜田の鉈切の宮、すなわち浜田神社の傍らにある洞窟は、君津郡天羽郷の鹿野山まで、道のり三里の間を抜け通っているといわれる。近ごろ、一人の修験者がこの窟の中を極めて見ようと、蠟を蓄え手松明を持って洞に入った。三日を経て犬は帰ったが、修験者は戻らなかった。その記すところによれば、窟の中は迂回して幾曲がりあるとも知れず、怪しいことであったという。里人の言うには、洞穴の内には錠があるという。また、修験者の連れていた犬がこの洞から出てきたとき、赤肌になって毛が一本も残っていなかったとも伝えられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 安房の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・江戸~明治時代)
藤沢衛彦編『日本伝説叢書 安房の巻』を全186話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。