里見義豊が身を隠した磑の森
どんな伝承か
「里見九代記」によって名高い磑(するす)の森は、安房郡北三原村大字磑森の地にある。里見義豊が兵を挙げて安房一国を領していた際、逆臣山下定包を討ったのち、一旦この森の中に隠れ、隙をうかがって磯村から落ち延びたとも、白浜(乙浜)を越えて落ち延びたとも言われている。これを怪しんだ里見義堯は、天文九年九月二十一日、兵を五畿七道に下してその行方を捜索させたけれども、遂に捕えることができなかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 安房の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・1919年(大正8年))
『日本伝説叢書 安房の巻』は、藤沢衛彦が大正八年に編んだ安房国(千葉県)の伝説集である。天富命の渡来や源頼朝・里見氏・日蓮にまつわる英雄伝説を中心に、社寺の縁起、風俗・信仰、船幽霊や一本足の蛸などの特異な伝承を、『安房志』『房総志料』などの地誌や寺伝・口碑から引いて収める。緒言と「安房国と牛」と題する序を巻頭に置き、鋸山から小湊まで各話に所在の郡村大字を添えて土地ごとに並べ、緒言では百八十六種を蒐集したと記す。