頼朝の楊枝が芽吹いた楊枝水
どんな伝承か
嶺岡の山上に楊枝水と名づけられた清泉がある。治承四年九月三日、源頼朝が猟島から長狭の地を経てここに至り、近隣の武士たちの帰順を協議するため休んだ際、楊枝で口をすすいで地に挿したところ、その楊枝から芽が吹き、以後涸れることのない泉になったと言い伝えられる。冬も夏も涸れない清水だと房総遊覧誌は記している。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 安房の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・1919年(大正8年))
『日本伝説叢書 安房の巻』は、藤沢衛彦が大正八年に編んだ安房国(千葉県)の伝説集である。天富命の渡来や源頼朝・里見氏・日蓮にまつわる英雄伝説を中心に、社寺の縁起、風俗・信仰、船幽霊や一本足の蛸などの特異な伝承を、『安房志』『房総志料』などの地誌や寺伝・口碑から引いて収める。緒言と「安房国と牛」と題する序を巻頭に置き、鋸山から小湊まで各話に所在の郡村大字を添えて土地ごとに並べ、緒言では百八十六種を蒐集したと記す。