頼朝が常胤を待った待崎
どんな伝承か
治承四年九月四日、源頼朝は千葉介常胤のもとへ迎えの使者を送り、その軍勢を待った。しかし常胤の兵は一向に現れず、頼朝は心中ひそかに疑いを抱きながら、使者をこの地に留めてしばらく軍勢を待ったという。今の鴨川町と東条村の境にある土地を待崎と呼ぶのは、昔ここで頼朝が常胤を待ったことから名づけられたものだと増訂房総遊覧誌は伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 安房の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・1919年(大正8年))
『日本伝説叢書 安房の巻』は、藤沢衛彦が大正八年に編んだ安房国(千葉県)の伝説集である。天富命の渡来や源頼朝・里見氏・日蓮にまつわる英雄伝説を中心に、社寺の縁起、風俗・信仰、船幽霊や一本足の蛸などの特異な伝承を、『安房志』『房総志料』などの地誌や寺伝・口碑から引いて収める。緒言と「安房国と牛」と題する序を巻頭に置き、鋸山から小湊まで各話に所在の郡村大字を添えて土地ごとに並べ、緒言では百八十六種を蒐集したと記す。