日蓮誕生の地に建つ小湊山誕生寺
どんな伝承か
小湊の祓町にある小湊山誕生寺は、日蓮上人が生まれた地と伝えられる寺である。山門に掲げられた日蓮の肖像は中老日家上人の作といい、堂の左手には誕生水と誕生堂、東西の小院があり、東南の山下には三十番神社がある。境内の誕生水は、日蓮が生まれたときに汲んで産湯に使ったと伝わる。日蓮は貞応元年二月十六日、父貫名重忠の館で生まれた。建治二年八月十三日、弟子の日家が師のためにその生地に寺を開いたが、貞享のころ地震と津波で旧地は海に沈み、以後いまの場所に移されたという。徳川の代には朱印地を与えられていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 安房の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・1919年(大正8年))
『日本伝説叢書 安房の巻』は、藤沢衛彦が大正八年に編んだ安房国(千葉県)の伝説集である。天富命の渡来や源頼朝・里見氏・日蓮にまつわる英雄伝説を中心に、社寺の縁起、風俗・信仰、船幽霊や一本足の蛸などの特異な伝承を、『安房志』『房総志料』などの地誌や寺伝・口碑から引いて収める。緒言と「安房国と牛」と題する序を巻頭に置き、鋸山から小湊まで各話に所在の郡村大字を添えて土地ごとに並べ、緒言では百八十六種を蒐集したと記す。