倉沢山に響く天狗の木伐り
どんな伝承か
奥多摩の倉沢へ通う道すじ、大沢の山で炭を焼いていたころの話である。語り手たちは鍾乳洞のある倉沢山の上手で仕事をし、そのまま小屋に泊まることもあった。すると朝方、ゴテーン、ゴテーンと大木を伐り倒すような音が響いてくる。不審がると、年寄りはあれは天狗のしわざでよくあることだと言った。帰りぎわにも、地をほじくり返すような凄まじい音が、本職の木こりが調子を取るのと同じ拍子で聞こえたという。三十四、五年も前のことだと語られた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考・1970年代)
松谷みよ子『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』を小話単位で全532話収録。河童・天狗・神かくしにまつわる現代の民話・怪異譚を全国から採集し、地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明530話・市区町村判明477話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。