善光寺へ参るため夢で借りた数珠
どんな伝承か
伊香郡木之本町の農村に生まれたFさんの話。戦争のさなか、夢に弟が現れ、善光寺に参れなかったのが心残りだから兄の白い数珠を貸してくれと頼んだ。持って行けと答えたところで目が覚めた。不審に思って仏壇の箱を検めると、白珊瑚の数珠が消えている。妻に尋ねても触れてもいないという。七日ほどして弟がまた夢に立ち、念願がかない参ってきた、数珠は返すと告げた。目覚めて箱を見ると数珠はもとどおり収まっていた。従兄も同じころ、善光寺の本堂で弟に会う夢を見ていたという。のちにFさんのもとへ、弟の戦死の知らせが届いた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。