木挽の酒盛りをとがめた天狗
どんな伝承か
東郷村出沢の木挽、三作が仲間八人と山小屋にいたときの話である。夜更けに酒を二升買ってきて、石油缶をたたいて拍子を取り、大騒ぎを始めた。すると山の上から石が投げられ、岩が転がされ、小屋が揺さぶられ、火の玉が飛び、あたりの木が倒れるような音まで響いた。一同はすっかり酔いがさめ、抱き合って生きた心地もしなかった。ところが夜が明けて見回すと倒れた木など一本もなく、天狗のいたずらだったとされた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。