天狗森の麓で投げられた若者
どんな伝承か
松崎村に天狗森という山がある。その麓の桑島で、村の若者が働いていたところ、しきりに眠くなったので畑の畦に腰かけて居眠りしようとした。すると顔の真っ赤な、きわめて大きな男が現れた。若者は平生から相撲の好きな力自慢だったので、見下ろされるのを面憎く思い、立ち上がって飛びかかったが、かえって自分が飛ばされて気を失った。その秋、早池峰の腰へ村人と馬を曳いて萱を刈りに行った折、この男だけ姿が見えなくなり、深い谷の奥で手も足も一つ一つ抜き取られて死んでいたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。