山犬を祀る三峰神社のおぼこ
どんな伝承か
筆者が秋に三峰神社へ参ったとき、宮司の広瀬信吾氏と親しく話をした。宮司によれば、この山では明治の末ごろまで山犬、つまり狼が姿を見せ、ことにすさまじい声を上げたという。御子立て(おぼこだて)のときには、赤飯一升に清酒を掛けて供えるが、昔は米一斗分を供えたものだった。御子立てのないときも毎月二回、十日には近宮で、十九日には遠宮で、夕方六時ごろの暮れ六つに供えをおこなったと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 10 狼・山犬、猫(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 10 狼・山犬、猫』は、松谷みよ子が日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞き書きで全国から集めた話を編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、狼への畏れと信仰、送り狼や千匹狼、化け猫や猫の踊り、戦中の猫の供出、水洗トイレを使う猫までを収める。序文と各章の前文に続いて「狼・山犬」「猫」の二章を主題別の節に分け、各話例の後に類話の採集地・話者・出典を「分布」として並べる。