五之三の田んぼが一瞬大川に変わる
どんな伝承か
昭和三十三年ごろ、話者の友人が名古屋から実家のある五之三へ田仕事に向かったときのこと。五之三駅で降りて歩いていくと、突然すさまじい水の渦巻く音がした。振り返ると、あたりの田んぼが大きな川になっていた。こんな所に川などないと何度も自分に言い聞かせて走り、先を行く子どもにやっと追いついて振り返ると、元の田のうねに戻っていた。子どもは何も見なかったという。一時は金縛りのようにもなり、倉屋敷の狸の仕業だと思うと語っている。
原典より
手平の短歌の先生とこへ行ったとき遅なってしもうてのう、先生に送ってもろうたんやが、あっこらさぶしいとこでのう、ドブのはたにお地蔵さんがあったんえ、そのお地蔵さんの一寸向うにうどんて書いた赤いちょうちんがつっちゃあって、そ…—— 現代民話考 11 狸・むじな(松谷みよ子・現代民話考・1995年(平成7年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 11 狸・むじな(松谷みよ子・現代民話考・1995年(平成7年))
『現代民話考 11 狸・むじな』は、松谷みよ子が一九九五年(平成七年)に編んだ現代民話の資料集である。明治から現代までに各地で語られた狸・むじなの話を、聞き書き、読者の回答、郷土誌や民話集、新聞記事から集める。狸火、腹つづみ、音まね、いたずら、化かし、たたり、人助け、戦争にいった狸、今の暮しなど十二の部に分け、話例ごとに本文と類話の「分布」を添え、巻頭に序文と前文、巻末にあとがきを置く。