自転車を引き重箱をせしめた大将軍の狸
どんな伝承か
明治三年生まれの祖母から聞いた話。明治三七、八年頃、およばれに行った帰り道、自転車の後ろの荷台に馳走の入った重箱を積んでいると、田んぼの細い畦道のあたりで急に車を後ろからぐいと引かれた。振り向いても何も見えず、先へ進もうとするとまた引かれる。「これは大将軍のたぬきだな。いたずらはもう、かんべんしておくれ」と言って、重箱の中身をその場に開けて置いてくると、自転車はもう引かれることなく、さっと通って帰ることができたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 11 狸・むじな(松谷みよ子・現代民話考・1995年(平成7年))
『現代民話考 11 狸・むじな』は、松谷みよ子が一九九五年(平成七年)に編んだ現代民話の資料集である。明治から現代までに各地で語られた狸・むじなの話を、聞き書き、読者の回答、郷土誌や民話集、新聞記事から集める。狸火、腹つづみ、音まね、いたずら、化かし、たたり、人助け、戦争にいった狸、今の暮しなど十二の部に分け、話例ごとに本文と類話の「分布」を添え、巻頭に序文と前文、巻末にあとがきを置く。