上高地のペンションの写真に写るまり
どんな伝承か
長野県の上高地での話。回答者の高校では、二年生が上高地へキャンプに行くのが恒例で、泊まったのは二階建てのペンションだった。夜九時ごろ、友人がベランダに出ると手ぬぐいのような布が一枚干してあった。部屋の誰の物でもなく、手に取ると浴衣の切れ端だったので、気味悪く思って元に戻した。夜中、端の部屋で寝ていると、手まりをつくような音がしきりにした。翌朝見ると切れ端は消え、干してあった場所だけがペンキを塗ったように真っ黄色になっていた。現像すると、部屋で撮った写真にいくつものまりが写っていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考(立風書房)第十二巻・1996年(平成8年))
『現代民話考 12 写真の怪・文明開化』は、松谷みよ子が一九九六年にまとめた現代民話の資料集で、同シリーズの第十二巻にあたる。雑誌での呼びかけやアンケート、聞き書きで寄せられた話と新聞・雑誌の記事を、心霊写真をめぐる怪異と、明治以降の電信・汽車・電気燈などの新しい文物や流行病に戸惑う人々の話に分けて収める。話例ごとに本文を掲げて各地の類話を分布として並べ、話者や回答者の名と出典を添える。