仙人堂の記念写真に立つ老翁
どんな伝承か
仙人峠には昔から背の低い白鬚の老翁がいて、時おり旅人の目にも触れたという。頂上の仙人堂の壁板の落書にも、夜九時頃に山中で不思議な白髪の老人に逢った、などと書かれていた。大正五年の春、釜石鉱山の役員らがこの峠の仙人堂の前で山見物を催し、下山する前に仙人堂を背にして記念写真を撮った。掛茶屋の主人も加わったが、出来上がった写真には主人の背後に、小柄で白鬚の、杖を持った奇怪な老翁が一人多く写っていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考(立風書房)第十二巻・1996年(平成8年))
『現代民話考 12 写真の怪・文明開化』は、松谷みよ子が一九九六年にまとめた現代民話の資料集で、同シリーズの第十二巻にあたる。雑誌での呼びかけやアンケート、聞き書きで寄せられた話と新聞・雑誌の記事を、心霊写真をめぐる怪異と、明治以降の電信・汽車・電気燈などの新しい文物や流行病に戸惑う人々の話に分けて収める。話例ごとに本文を掲げて各地の類話を分布として並べ、話者や回答者の名と出典を添える。