幸畑陸軍墓地に写った裸の亡霊
どんな伝承か
映画「八甲田山」で一躍脚光を浴びた青森市幸畑の陸軍墓地は、市の中心部から約七キロの小高い丘にあり、広さ七千平方メートル、一九九柱の英霊が埋葬されている。墓地を囲む土手は老松がうっそうと茂り、付近の子供たちの遊び場になっていた。昭和五二年秋、この墓地で撮られた子供のスナップは、なぜかカメラがぶれて帽子と手足の一部が上下に重なっていた。それはさておき、老松の右下に裸の男性が一寸法師のように小さく写っていた。子供よりずっと手前にいるのに小さいのである。雪中行軍の際、錯乱して軍服を脱ぎ、裸で雪にのめり込んで死んだ兵士の亡霊かという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考(立風書房)第十二巻・1996年(平成8年))
『現代民話考 12 写真の怪・文明開化』は、松谷みよ子が一九九六年にまとめた現代民話の資料集で、同シリーズの第十二巻にあたる。雑誌での呼びかけやアンケート、聞き書きで寄せられた話と新聞・雑誌の記事を、心霊写真をめぐる怪異と、明治以降の電信・汽車・電気燈などの新しい文物や流行病に戸惑う人々の話に分けて収める。話例ごとに本文を掲げて各地の類話を分布として並べ、話者や回答者の名と出典を添える。