渋谷の邸で開かれた豚天狗の園遊会
どんな伝承か
煙草が官営になったのを機に、天狗煙草で知られた商人が豚の飼育へ転じ、豚天狗を名乗って渋谷の自邸で披露の園遊会を開いた。種豚だけで千頭、豚小屋は区画正しく並び、当日は念入りに掃除もされていたが臭いは強烈で、客はみな一歩たじろいだ。主人は、この匂いが日本中へ行き渡らなければ意味がないと説き、豚は繁殖が早く国益になるから商いをやめて渋谷村の百姓になったのだと語った。料理も豚づくしで、帰りには豚の生肉の折詰が土産に配られた。
原典より
回答者・中村博(東京都在住)。—— 現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考・1990年代初期(平成初期)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考・1990年代初期(平成初期))
松谷みよ子『現代民話考 12 写真の怪・文明開化』を小話単位で全550話収録。心霊写真など写真の怪と、文明開化期の怪異にまつわる現代の民話を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明496話・市区町村判明377話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。