父が夢枕に立った未明の知らせ
どんな伝承か
大正九年八月四日の未明、まだ薄暗いころのことである。語り手は小学三年で、蚊帳の中で眠っていたところを、隣に寝ていた母に揺り起こされた。母は、いま父が夢枕に立って、おひなを早く来てくれと言って消えた、すぐ行くからお前も一緒に来なさい、と告げた。北里病院に着いたときにはあたりが明るくなっており、たったいま亡くなったと知らされた。父の枕元で声を上げて泣いたのを覚えているという。母はそれ以来、夢の知らせは本当にあるのだと繰り返した。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。