昏睡の恩師が告げたH君の来訪
どんな伝承か
恩師は昭和五十一年二月二十五日に相模原市上鶴間の東芝林間病院へ入院し、いったん持ち直したものの四月下旬から悪化して昏睡が続いた。四月二十六日の午後三時ごろ、ふと目を開けた先生は、看病していた同僚や教え子の前で「今H君が来てくれてね」と言い、また眠りについた。H君は寺の生まれで読経ができる青年教師で、癌のため半年ほど前から郷里の尾張で療養していた。先生は自分の葬儀の読経は彼にと冗談を言うほど目をかけていた。その二時間後にH君の死の報せが届き、先生も四月三十日に亡くなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。